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    <title>雨天決行！</title>
    <link>https://matsuri.kashi-hondana.com</link>
    <description>雨天決行！・小説更新情報</description>
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    <copyright>Copyright ©2026 夏まつり.</copyright>
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      <title>（番外編）一つ前の話の、その後の話 - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10549</link>
      <pubDate>Thu, 16 Jun 2022 12:13:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[※1つ前の番外編の続きっぽい話です※




「ハル様と部屋を同じにする話、どうなりました！？」

　離れに朝食を運んで屋敷に戻るなり、モニカさんにそう聞かれたので、「一緒の部屋にすることになりました」と答えた。

　でも、ハルさんからモニカさんたちに伝えてくれることになっていたし、ハルさんはわたしより先に本邸に戻ったはずだ。
　モニカさんとハルさんのタイミングが合わなかったのかなと首をかしげる。

　衣装棚のような大きな荷物もあるから、きっと部屋の移動には少し時間がかかるだろうな。

　――そう思っていたのに、翌日どころかその日の昼食を終え、仕事に戻るハルさんと別れた頃には、新しい部屋の準備が整っていた。

「使用人総出でご準備しました」
「壁紙やカーテンはそのままですが、最新の見本帳をもらってきましたのでお二人で見てください」
「ベッドの枕は二つくっつけときましたんで」

　やりきった...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>（番外編）君が隣にいる幸せ - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10219</link>
      <pubDate>Mon, 13 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[※ハル視点の後日談です※



　両親が他界したのは僕が十五の時だった。

　肉親と呼べる相手がひとりもいなくなり、その時は心に大きな穴が空いたようだった。

　でも親の代からの使用人たちは皆残ってくれたし、領地をより住みよい土地にするの方法を考えて施策を実現していくのも、人を動かして何かを成す事業も、やりがいがあって夢中になったから、さみしいと思うことはなかった。

　ひとりで十年生きてきて、独り身であることに慣れきって、このまま結婚はせず領地を託せる誰かを養子に迎えられればそれでいいと思っていた。

　でも僕はたださみしさや心の穴の存在を忘れていただけなんだって、彼女が僕に教えてくれた。


　　　◇


「あっ、ハルさん。おはようございます」

　朝早くダイニングに行くと、席についていたリッチェル様が振り返る。
　可憐な蕾が花開くような笑顔を向けられ、体温が上がるのを感じた。

　束...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>（番外編）使用人会議 - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10058</link>
      <pubDate>Mon, 13 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[※本編でハルが熱を出すちょっと前くらいのお話です※




「では、第十一回〝ハル様とリッチェル様はどうやったらくっつくのか会議〟を開催したいと思います」

　場所は使用人の控室。
　モニカがそう宣言すると、集まった使用人たちはそれぞれ神妙な面持ちでうなずいた――ただ一名、エヴァンを除き。

「なんで俺まで……」

　そうぼやいたエヴァンに、腕を組んだモニカが顔を向ける。

「エヴァンくんにはハル様のご様子を聞きたいからですよ。ハル様は最近どうですか？」
「最近も何も、この会議、一日に何回もやってるじゃないですか。暇なんですか？」
「どんなに忙しくても最優先事項です。だいたい、前回も前々回も来なかった人が何を言うんですか。さあエヴァンくん、報告を」

　真顔で圧をかけるモニカを見上げたエヴァンは、頬杖をついたままため息をついた。

「書斎に誰か入ってきても仕事に没頭していることが多かったハ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>06.ずっとずっとあなたの隣で - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10057</link>
      <pubDate>Mon, 13 Jun 2022 17:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[　モルト伯爵の家に来てからずっと、わたしの前に用意されていた食事はひとりぶん。
　でも今日からは、ふたりで食事ができるんだ。

　いつもより早い時間に勝手に目が覚め、モニカさんを待てなくて急いで自分で身支度を終える。

　廊下を小走りで進んで食堂の扉を開けると、一番奥の席にはハルさんが座っていた。

「あっ、おはようございます」

　読んでいた書類らしきものをテーブルに置いて、ハルさんがわたしに笑顔を向けてくれる。

　屋敷の中では前髪を上げてほしいというお願いは聞いてもらえなかったけれど、今日からはハルさんと一緒に食事ができる。それだけのことがすごく嬉しい。

「あっ、申し訳ありません。遅くなりました」

　配膳に来てくれた使用人さんが、わたしたちを見て慌てたように頭を下げる。

「僕たちが早く来すぎただけなので、大丈夫ですよ」
「はい、いつもありがとうございます」
「とんでもございませ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>05.モルト伯爵（２） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10056</link>
      <pubDate>Sun, 12 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
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      <content:encoded><![CDATA[　ハルさんは視線を下に向け、お腹の前で両手の指先を交わらせる。

「結婚式でお会いしたあなたが、その、ええと」

　ハルさんの声はどんどん小さくなっていき、最後には聞こえなくなってしまった。

　わたしが聞き返すと、ハルさんは少し言葉に詰まってからまた口を開く。

「リッチェル様があまりに綺麗だったので、緊張してしまったんです！」

　綺麗。
　心臓が軽くはねて、頬が熱くなった。

「じゃあ、結婚式で目が合わなかったのは」
「リッチェル様がまぶしすぎて直視できませんでした……」
「一度も話さなかったのは」
「声が出ませんでした……」
「誓いのキスは」
「勇気が出なくて」
「初夜は」
「そんなっ、……ごめんなさい、もう勘弁してください……」

　ハルさんの耳がどんどん赤くなっていくので、心がむずむずして、口が締まらなくなった。
　なんだ。じゃあ、わたしは伯爵から避けられているわけではなかった...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>05.モルト伯爵（１） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10032</link>
      <pubDate>Sat, 11 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[「リッチェル様、どうなさいました？　ずいぶんぼうっとされているようですが……」

　モニカさんの声で我に返って、わたしは顔を上げた。

　周囲を見回せば自分の部屋。
　ハルさんと本邸に帰ってきたあと、夕食を食べて部屋に帰ってきたことはなんとなく覚えている。何を食べたかまでは思い出せないけれど。

「どこかお悪いようでしたら医者を呼びましょうか」
「あっ、いえ、大丈夫です。その、ハルさんから〝モルト伯爵に会って欲しい〟と言われまして……」

　モニカさんに話しても仕方がないのに、つい口から出ていってしまった。

「ハル様がそんなことを！？　いつお会いになるんですか！？」

　ぐわっと前のめりになって聞いてきたモニカさんに、つい身を引く。

「えっと、このあとです」
「このあと！？　まあまあまあまあ！　大変、急いで準備しなくては！！」

　ぱあっと笑顔になったモニカさんは、力強い足音を立てて部...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>04.自覚した恋心（2） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10021</link>
      <pubDate>Fri, 10 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ハルさんが不在だったのは一日だけで、ハルさんは熱を出した翌々日の朝には玄関ホールでと朝食を乗せたワゴンと一緒に待っていた。

「おはようございます」
「おはようございます。あの、もうしばらく寝てらしたほうがいいのでは……？」

「ご心配をおかけしていたらすみません。少し疲れをためてしまっただけなので、大丈夫ですよ。一日寝たらすっかり元気です」

　世の中には〝過労死〟という言葉があるくらいだし、その疲れただけってのが心配なんだけど。

　でも〝なんとなく心配〟以上の理由を挙げられないわたしは、ハルさんの「ふたりともお腹を空かせてると思うので、早く行きましょう」という言葉に押し切られた。

　ワゴンを押すハルさんの一歩後ろをついて離れに向かう。

　一昨日までのわたしなら、何も考えずにハルさんの隣を歩いていた。

　でも恋心を自覚した今となっては、どうやってハルさんの隣に並んでいたのか、そ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>04.自覚した恋心（１） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10018</link>
      <pubDate>Thu, 09 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[　昼間のアレはなかったことにしよう。

　自室に戻ってから夕食を終えるまで、ひとりで悶々とし続けたわたしの結論はそれだった。

　なかった。
　何もなかった。
　そういうことにしてほしい。

　次にハルさんに会ったら、これまでどおりのわたしを見せよう。

　そう決心したけれど、実際に立ち上がるまでには少し時間が必要だった。

　昨日まで書斎に行ってハルさんに声をかけていた夜遅い時間になってようやく、わたしは閉じこもっていた部屋を抜け出した。

　空気の冷えた廊下を歩いていると、書斎から出てきたエヴァンくんがわたしとは逆方向に走っていくのが見えた。

　何だろうと思ったけれど、エヴァンくんは声をかける間もなく廊下の角を曲がっていってしまったのでわからない。

　開けっぱなしで放置された書斎の扉まで辿り着き、深呼吸してから中を覗いてみる。
　これまでどおり。そう、いつもどおり。

「ハルさん、...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>03.亜人の兄妹（４） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10017</link>
      <pubDate>Wed, 08 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


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      <content:encoded><![CDATA[　ハルさんが領内で発注したハンモックが届いたのは三日後のことだった。

「ずいぶん早いですね」
「ちょっと無理を言ってしまいました。一つでいいから早くほしいって。作り方も手探りな中、頑張ってもらいました」

　気弱なハルさんでも無理を通すことはあるんだなと、ひとつ新しい一面を知った気がする。

　きっとわたしにハンモックについて説明してくれたときのように、職人さんたち相手にも熱心に語ったんだろうな。

　ユルくんとソアラちゃんは、ハルさんがハンモックのフレームを部屋に運び込んだときはきょとんとしていた。

　でもフレームに布を取り付け始めると、ふたりとも体を前に出してハルさんの組み立て作業に釘付けになる。

「ハンモック！」

　まだ完成していないのに、ソアラちゃんがベッドから降りてハンモックに近づいていった。

　ユルくんもソアラちゃんの隣に寄って、木製のフレームや厚手の布をあちこち眺め...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>03.亜人の兄妹（３） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10015</link>
      <pubDate>Tue, 07 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


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      <content:encoded><![CDATA[　ユルくんとソアラちゃんに名前を教えてもらってから三日、ハルさんと一緒に毎日食事を部屋に運んだ。

　ハルさんは仕事があるからといつも名残惜しそうにすぐ本邸に戻ってしまうけれど、暇なわたしはふたりの部屋に残ることにしている。

　ソアラちゃんの熱は下がったり上がったりをくり返しているので、ソアラちゃんの調子がよさそうなときだけだけど。

　ふたりが食事をとる間に絵の描かれた木の板を持って文字を読んだり、ふたりと｜蝋板《ろうばん》に絵を描いたり、歌ったり。

　ユルくんはまだ警戒をといてくれないけれど、ソアラちゃんは「リチェ」と少し変わった発音で呼んでくれるようになってすごく嬉しい。

　あとは、ソアラちゃんが元気になってくれれば言うことなしなんだけどな。

　でも骨と皮だけに見えたユルくんとソアラちゃんの体が少しだけふっくらしてきたから、このまま栄養をたっぷりとってくれたらいいな。


　...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>03.亜人の兄妹（２） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/10004</link>
      <pubDate>Mon, 06 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
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      <content:encoded><![CDATA[　離れに入って子どもたちの部屋の戸の前に立ったとき、少しだけ緊張した。

　昨日は窓の格子ごしだったから爪で引っかかれるようなことはなかったけれど、今日は部屋に入るんだ。

　ノックしてから部屋の戸を開けたハルさんの後ろから、中の様子を覗いてみる。

　女の子はベッドに横になったままこちらに顔を向けてきて、ベッドの前に座っていた男の子は険しい顔で腰を浮かせた。

　ふたりはハルさんとわたしを見比べてから顔を見合わせている。

　ベッドに寝ている女の子の頬は真っ赤に火照っていて顔色もあまりよくない。
　昨日より調子が悪そうで、胸が締め付けられた。

「おはよう。気分はどう？　朝食と着替えを持ってきたよ」

　優しい声でハルさんが声をかけても、男の子は頭の上の耳をピクリと動かしただけで、ハルさんをにらみ続けている。

「食事をね、今日はそっちの机に置きたいんだけど、いいかな？」

　食事の乗っ...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>03.亜人の兄妹（１） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/9725</link>
      <pubDate>Sun, 05 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ハルさんには「自分の身支度は自分でするから大丈夫」と伝えたけれど、モニカさんは昨日より早い時間にわたしの部屋に来てくれた。

「時間を早めてしまってすみません」

　わたしが謝ると、モニカさんは力強く笑って自分の胸をどんと叩いた。

「いいんですよ。仕事の順番を入れ替えるだけですし」

　しかもモニカさんが手早くわたしの服を着せてくれる間に、別の人が朝食を部屋まで運んできてくれた。

　モニカさんだけじゃなく、厨房の人たちまで朝早くに働かせてしまって申し訳ない。
　でもそれを謝ると、

「もともと旦那様の朝が早いので、我々からすればむしろお二人の時間が揃って大助かりですよ」

　と、モニカさんはケラケラ笑う。

　伯爵は基本家にいないって話だったけれど、朝早くに家を出て夜遅くに帰ってくるのかな？

「モニカさん、モルト伯爵は日中はどこにいらっしゃるんですか？」
「えっ、さあ、我々も存じ上...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>02.立入禁止の場所（３） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/9718</link>
      <pubDate>Sat, 04 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[「亜人の子どもたちは、どうして離れにいるんですか？」

　その質問をハルさんに向けられたのは、もう夕食の時間になってからだった。

　できればハルさんの用事が終わったらすぐにでも聞きたかったのだけれど、ハルさんは帰ろうとする工事の人たちを追いかけて行ってしまったので、タイミングを逃していた。

　モニカさんには「ハル様にお聞きください」と言われてしまったし。

　ハルさんの仕事に割り込むのも悪いかなと思って、ハルさんの手が空いたら声をかけてほしいという伝言をモニカさんに頼んで、やっと話ができたのがこの時間だった。

　工事の人たちとハルさんは費用がどうので押し問答をしているように見えたから、それはそれで気になるんだけど、まずは子どもたちのことが先だ。

　わたしのグラスに水を注いでくれたハルさんは、少し言いよどんでから口を開く。

「彼らは伯爵家のうわさを聞きつけた奴隷商人が、五日前に売り...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>02.立入禁止の場所（２） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/9717</link>
      <pubDate>Fri, 03 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[　昼食のときに亜人の子どもたちについて聞きたかったけれど、ハルさんにもモニカさんにも会えなかった。

　仕方がないので他の使用人さんに、用途は言わずに書字用の｜蝋板《ろうばん》と｜尖筆《スタイラス》をもらう。

　本来は板の表面に張られた蝋の膜を、｜尖筆《スタイラス》で削って文字を書くためのものだ。
　文字はきっと伝わらないだろうけれど、簡単な絵ならわたしにも描けるかなって。

　亜人の子どもたちの部屋の窓に近づいて、中の様子をうかがってみる。

　女の子は壁側に顔を向けてベッドに寝そべっていて、男の子はベッドのすぐ傍に座り込んで木の板を眺めている。

　あの木の板は何だろう？
　気になったけれど、格子状の窓からはよく見えない。

　木の板の正体を知るのは諦め、また窓の横に立って、歌を風に乗せる。
　今回はわたしの生まれた地方に伝わるわらべ歌にしよう。

「――♪――♪――」

　部屋を見...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>02.立入禁止の場所（１） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/9716</link>
      <pubDate>Thu, 02 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[　食事のあと、モニカさんに手伝えることはないかと聞いてみたけれど、「特にございませんので、庭園でも見てきてくださいな」と言われてしまった。

　早く伯爵家に慣れようと本邸の中をぐるりと見て回ってから、モニカさんに勧められたとおり庭園に出る。

「さすが伯爵家……」

　庭師を雇う余裕がなくて荒れ放題だった実家の庭とは大違い。

　色とりどりの花が力強く咲いている。
　どこもかしこも手入れが行き届いていて、すごくきれいだ。

　庭園をゆっくり歩いていると、庭師のおじいさんが何か作業をしているのが視界の端に映った。

　庭師さんの隣には杖をついた女の子。
　女の子の薄紅色の髪が木漏れ日の下でキラキラ光っている。女の子は庭師さんの話を頷きながら聞いていた。

　昨日あいさつをしてもらったときはふたりの関係を聞かなかったけれど、孫がおじいちゃんから仕事を教わっているようにも見えて、ちょっとほほえま...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>01.買われた結婚（２） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/9715</link>
      <pubDate>Wed, 01 Jun 2022 21:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[　ダイニングに準備されていたのは一人分の食事だけだった。

　奥の席は空っぽ。
　モルト伯爵の姿はない。

　昨日もこうだったから予想はしていたけれど、新婚だというのにモルト伯爵はわたしと食事をする気もないらしい。

　ため息をついてから、ハルさんが引いてくれた椅子に座る。

「どうぞ、お召し上がりください。お飲み物は何がよろしいですか？」
「ではお水をいただけますか？」

　クセでついそう答えたけれど、貧乏くさかったかな。

　お金がなかった実家では節約のために水だけを飲んでいたけれど、ここはお金持ちの伯爵家。

　モルト伯爵は水なんて頼まないかもしれない。
　変に思われたんじゃないかな。

　不安になったけれど、ハルさんは口元ににこりと笑みを広げ、グラスに水を注いでくれる。

　ちらりと見えたハルさんの手の甲や手首には、小さなひっかき傷がたくさん刻まれていた。シャツの端もところどころ破...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title>01.買われた結婚（１） - 実家の借金を返すために黒い噂のある伯爵家に嫁いだのに、優しく溺愛されています</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/455/section/9712</link>
      <pubDate>Wed, 01 Jun 2022 18:00:00 +0900</pubDate>
      <description>　両親が騙されて作った多額の借金を返すため、奴隷商人のお得意様だという黒い噂のある伯爵家に嫁いだリッチェル。

　しかし夫となった伯爵は、結婚式の後から姿を見せない。

　代わりに使用人の長を名乗る、長い前髪で目を隠した青年が優しく応対してくれた。

　初夜もなく、伯爵が会いに来ることもなく、何か仕事を与えられるわけでもない。


（――わたしは、何のために買われたの？）


　戸惑いながら庭を散策していると、中には入らないでほしいと言われていた離れが目についた。

　入らなければいいかと窓から様子をうかがうと、獣のような耳を頭に乗せた、ふたりの亜人の子どもが目に入った。


　――これは、ピュアなふたりの可愛くて時々切ない、婚姻から始まる恋物語。


※遥彼方様主催の「共通恋愛プロット企画」参加作品です。遥彼方様提供の共通プロットを少しアレンジして執筆しています。
※投稿先：小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、貸し本棚</description>
      <content:encoded><![CDATA[　結婚したその日に初夜はなかった。

　まだ十七歳になったばかりの、まっさらで若い身体を求められたわけではないのなら、わたしはどうして買われたんだろう。


　　　◇


「……はあ」

　どんなにふわふわでも、慣れないベッドは寝心地が悪い。
　たっぷり寝たはずなのに、体が重く感じる。

　カーテンごしに差し込む朝日で目は覚めたけれど、まだ起き上がる気になれなかった。

　昨日知ったばかりの見慣れない天井。
　なじみのない家具、敷物。

　落ちつかなくて、意味もなく何度も寝返りをうってしまう。

　ため息をついてから目を閉じ、わたしは想像していたよりゆるやかに過ぎていった昨日に思いを｜馳《は》せた。

　昨日、朝早くに嫁ぎ先のモルト伯爵家近くの教会で簡単な結婚式をあげてから、わたしの夫となった伯爵には一度も会っていない。

　披露パーティーもなく屋敷に来て、メイド長のモニカさんにわたしの部...]]></content:encoded>
    </item>
    <item>
      <title> - ラブレターの幽霊</title>
      <link>https://matsuri.kashi-hondana.com/author/page/453/section/9710</link>
      <pubDate>Tue, 17 May 2022 07:28:00 +0900</pubDate>
      <description>ある学校で、〝ラブレターの幽霊〟と呼ばれている幽霊のお話。
感想って、ラブレターみたいだと思いませんか？

※掲載先：小説家になろう、カクヨム</description>
      <content:encoded><![CDATA[　わたしはこの学校で、〝ラブレターの幽霊〟と呼ばれている。
　理由は、下駄箱の中や机の中に、こっそり手紙を入れるからだ。

　何十年も前に誰かがわたしのことをそう呼んで、先輩から後輩へ伝わり続けるうちに定着してしまった。
　わたしの手紙は〝Love〟じゃなくて〝Like〟を伝えるものだと思ってるんだけど、訂正しようとしても変わらなかったから、もう諦めちゃった。

　夜、生徒も先生もみんな帰ったのを確認して回ってから、目当ての下駄箱を開ける。
　あちこち絵の具がついて汚れた上履きの上に、書いてきたばかりの手紙をそっと乗せた。

　使った紙は、宛先の女の子の机にあったルーズリーフを一枚だけ拝借したものだ。
　人間だったら窃盗になるかもしれないけれど、わたしは幽霊だから捕まることはない。
　それに、幽霊には便箋なんて買えないからね。ノートから一ページを拝借するくらい許してほしい。

『こんにちは...]]></content:encoded>
    </item>
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